virtual-oji’s diary

SIerに勤務するインフラエンジニアのブログ

クラウド移行のお供 VMware HCXの概要紹介とBest Practice

 今回は主にオンプレミスからクラウドへの移行及びL2延伸で利用するVMware HCXの概要について記載します。

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クラウドへの移行方法は様々な方式があります。

個人的にはAWS Lambdaなどクラウドの新しいテクノロジーを活用するために新規にシステムを作り直すことをお勧めしていますが、移行する際に止められないシステムだったりIPaddressを変更できないシステムは多いかと思います。

 

そんなシステム向けにお勧めしたい移行方式がVMware HCXを活用した移行方式です。

HCXを利用するとオンプレミスの仮想マシンをオンラインでクラウド上に移行できたり、逆にクラウドからオンプレミスへオンラインで戻すこともできちゃいます。

 

まずはHCXの各コンポーネントのご紹介です。

・HCX SaaS endpoint

これはHCXライセンスのアクティベーションする際に利用するSaaSサービスです。

他にはバージョンアップ・SWのダウンロードする際に利用します。

 

・HCX Manager

クラウド・オンプレ両方にデプロイする仮想アプライアンスです

各HCXコンポーネントの管理を実施でき、APIサービスのEndpointとして機能します

 

 

・HCX WAN interconnect Vrtua Appliance(HCX-IX)

移行機能を提供するアプライアンスです。

HCX Manager経由で簡単にデプロイすることができます。

 

・HCX Network Extension Virtual appliance(HCX-NE)

こちらはL2延伸機能を持つアプライアンスです。L2延伸しない場合は不要です

延伸するNWが8個以上の場合はアプライアンスを多くデプロイする必要がありますので注意が必要です。

こちらもHCX Manager経由でデプロイする形となります。

 

・HCX WAN Optimization Virtual Appliance(HCX-WO)

移行時のトラフィックを重複排除・圧縮する機能を持つアプライアンスです。

またまたこちらもHCX Managerからデプロイする形となります。

 

上記全て、クラウド・オンプレ側両方にデプロイして構成する形となります。

 

HCXを利用した移行には3種類あります。

・vMotion 無停止で移行可能

・Bulk Migration 切り替え時の電源オフ・オンのみ停止

・Cold Migration 全停止

 

当然、無停止の場合は満たすべき要件が多く、下にいくにしたがって要件は緩くなります。

バージョンアップを経て条件が変わる場合が多いので最新の要件は以下をご参照ください。

https://docs.vmware.com/jp/VMware-Cloud-on-AWS/services/com.vmware.vmc-aws-operations/GUID-DAE9B318-294A-4422-BBF4-82AE9DDFF043.html

また注意点ですがクラウド側はCPU世代をコントロールするEVC機能がオフになっています。

そのためオンプレ側がBroadwellであればオンラインでオンプレに戻せますがそれ以外の場合はオンラインでは戻せず停止が発生します。

オンプレ同士のvMotion時もそうですが、EVCが無効では異なるCPU世代のHW間でvMotionできないのと同じです。

 

ここからは各種のベストプラクティスと留意点について説明します。

★HCXを構成する上でオンプレミスとクラウド間は冗長することがベストプラクティスです。

また、回線のプロバイダも分けることが推奨されています。

複数のUpliknkパスがある場合はHCX側で最適なパスを計算して利用してくれます。

 

★各HCXコンポーネントDRSレベルはPartially Automatedが推奨値です。

★各HCXコンポーネントHA再起動優先度をL2延伸ネットワーク上のVMより高くして起動を早くする設定が推奨値です。

HCX Enterprise Managerはプロキシ経由の通信をサポートしますがそれ以外は未サポートです

★プロキシを設定する場合は内部通信については除外設定を入れましょう

認証にはBasic認証のみサポートしているためKerberos/NTLMはサポートしていません

★オンプレ側DNSで名前解決できるようにしましょう。特にクラウド側vCenterのドメインやHCX SaaS Endpointは忘れがちなので注意

★Updateが頻繁に実施されているのでHCXのリリースノートは定期的に確認しましょう

https://docs.vmware.com/en/VMware-HCX/services/rn/VMware-HCX-Release-Notes.html

 

今回はVMware HCXについて記載しました。

オンプレミスとクラウドVMware基盤を利用しているからこそ実現できる移行方式は強力なソリューションです

 

自分もその一人ですが数年前に初めてvMotionをして感動した方も多いのではないでしょうか

今度はオンプレからクラウドへのvMotionを是非、体感してみてください